ルーツ玉川織物

皆野町三沢のノコギリ屋根は、逸見織物の先代、逸見忠重(玉川忠重)が産まれ育った玉川織物工場跡でございます。
その昔、士豪であった玉川の館は、三沢の正光寺のところにございました。北条氏邦が秩父入りし玉川の館は氏邦の館として召し上げられ、その後に秀吉の侵攻による戦で焼失したと伝わります。上三沢に移った玉川は、養蚕を続ける三沢の人々と生きるすべを見出しながら、現代まで脈々と続いてまいりました。5百年の秩父の歴史をくぐり抜けてきた玉川家で、先代の逸見忠重(玉川忠重)は生まれ育ちました。
上三沢の八幡大神社は鎌倉時代はじめ畠山重能・重忠が創建したとされております。境内の摂末社には、玉川家の氏神の玉川神社や織姫神社などがあります。社殿はみな、東を向いているのですが、玉川神社だけ、なぜか本宮浅間大社の方角を向いております。
古来より、織工たちは、奉斎神である八幡社を祀って居住地を八幡荘と唱へました。秩父絹銘仙の矢羽文様は八幡社そのものと言っても過言ではなく、武運長久、勝利祈願、家内福寿、出世開運、病気平癒、夫婦安泰、子育大願、縁結び、五穀豊穣といった意味合いが込められた、古代からのPOPアートなのでございます。