秩父銘仙の染は②

ほぐし捺染の特許について経緯を聞かれましたので
お答え申し上げておきます。

織元の坂善さんが秩父銘仙を守っていくために
大正時代に取得されました。
が、この特許は、坂善さんの強い意向で
秩父で銘仙を作っている工場なら
誰でもが自由につかえるようになっております。
真に志の高い秩父人。先が見越せる尊い先人でございました。
この旨は銘仙関連工場にいらしたみなさんは
誰でもが知っている事です。

今は、特許は失効しているかと思われますが、
伝統工芸品の認定に乗じて、誰かが仮にこの特許を取得、又は
掲げて一本化しようというような動きがあれば、
これは秩父にとっては由々しき事態でございます。
今ある工場やすでに廃業されました織元さんのすべてを集めて
公文章として後世の方々に指示しておかないとと存じます。

銘仙の歴史と伝統や経緯を知る世代が少なくなったからといって
下請けの染め屋さんがこれまで歴史と伝統の秩父銘仙を主導的な立場で守ってきたかのごとき誤解を招くような表現や権威付は秩父人として恥じ入るべきかと存じます。
尊い先人の苦労が報われません。
わたくしどもの世代と大変な温度差を感じてございます。

なにしろ弊社ですら秩父ではもう廃業して
小物しか作っていないかのようなニュアンスに変わって
きておる次第でございます。
今回の国の伝統工芸品認可の件においては
2013年11月29日まで、こちらから新しい組合に出向かなければ伝える意志がなかったことは明らかで、ここにシステム上の
問題があるかと存じます。